2011年12月8日木曜日

エビデンス



レベルそれに該当する臨床研究デザインの種類
1+水準1の規模を含むランダム化比較試験のシステマティックレビューまたはメタアナリシス
1十分な症例数(全体で400例以上)のランダム化比較試験
2+水準2の規模を含むランダム化比較試験のシステマティックレビューまたはメタアナリシス
2小規模(全体で400例未満)のランダム化比較試験
2-さらに小規模(全体で50例未満)のランダム化比較試験,クロスオーバー試験(ランダム化を伴う),オープンラベル試験(ランダム化を伴う)
3非ランダム化比較試験,コントロールを伴うコホート研究
4前後比較試験,コントロールを伴わないコホート研究,症例対照研究 非実験的記述研究
5コントロールを伴わない症例集積(10~50例程度)
610例未満の症例報告


ランダム化比較試験
無作為化比較試験ともいいます。治療法や検査法などを比較する臨床試験では、対象となる患者さんを、その治療や検査を受ける群と受けない群などの二つ以上のグループに振り分けますが、その際にコンピューターの乱数表やくじ引きなどの方法を用いて、作為性が入り込まないようにする試験のことです。患者さんを振り分ける際に偏りが生じないため、治療法や検査法の有効性を客観的に調べることができるので、結果の信頼性は高いとされています。


システマティックレビュー
医学雑誌や学会発表などから臨床試験の報告を集め、その内容を評価し、要約してまとめたものです。最近では客観的な立場から、試験方法や解析方法などが一定の基準を満たした医学論文を集め、内容を厳しく吟味(ぎんみ)して、その結果を報告したものを指すのが一般的です。系統的レビューともいい、一般にエビデンスとしての信頼性は高いとされています。


メタアナリシス
システマティックレビューの一つです。メタ解析ともいいます。病気や治療法など共通した研究データを集め、統計学的な手法を用いてデータを統合し、総合的に評価する方法です。過去の多数の研究結果から、一定の見解を導き出すために用いられます。一つ一つの試験の結果が異なる場合や、症例数が少なくて正確な評価ができない場合などに有効な手法です。


クロスオーバー試験
二つの治療法の効果を比べる試験を行うときに、途中で今の治療法からもう一方の治療法に切り替える試験のことです。試験の対象となる患者さんの数が少なくても、同一の患者さんを対象とするため、比較するグループ間の背景に違いは生じません。しかし、試験期間が長くなると患者さんの病態が変化してしまう可能性もありますから、通常は数カ月間で治療法を切り替えます。大規模な試験を行う前の予備的な試験と位置づけることができます。


オープンラベル試験
どんな治療を受けているかを患者さんや医療スタッフ全員が知った状態で行う試験のことです。二つの治療法の効果を比較するときに、医療スタッフや患者さんが、どちらの治療法を行っているかを知ってしまうと、それが試験の結果に影響を及ぼす可能性があります。そこで、信頼性の高い結果を得るためには、治療法を知らせない、つまり盲検化という手法を採用します。盲検化されていないのがオープンラベル試験で、盲検化された試験に比べて結果の信頼性は低くなります。


非ランダム化比較試験
試験の対象となる患者さんを二つ以上のグループに振り分ける際に、無作為化の手法を用いずに振り分け、比較を行う試験のことです。グループ間で患者さんに偏りが生じる可能性があるため、結果の信頼性はランダム化比較試験よりもやや劣るとされています。


前後比較試験
患者さんの集団にある治療を行い、その前後で病気の様子がどのように変化したかを比較する試験のことです。結果を比較する対照群が設定されていませんので、生じた変化が治療によるものなのか、病気の経過をみたものなのかを判定することはできません。観察研究とも呼ばれます。


コホート研究
コホートとは集団という意味です。ある病気が発症する危険性の高い集団と、そうでない集団を長期間観察して、病気の発症率や進行の程度、死亡率などを調べる研究方法です。例えば、喫煙習慣のある集団と喫煙習慣のない集団の数年後の病気の発症率などを比較すると、喫煙が病気の発症に及ぼす影響を検討することができます。




症例対照研究
すでにある病気を発症してしまった患者さんと、その病気を発症していないけれど、その患者さんと年齢や性別などがマッチした人を選び、カルテなどの医療記録などからその病気の原因を探る研究方法です。病気の患者さんを症例、病気のない人を対照というため、症例対照研究と呼びます。


非実験的記述研究
実験的な介入を行わず、「ある患者さんにある薬を投与したら、症状が改善した」というように、患者さんの経過を記述して報告する研究のことです。


症例集積
ある治療法を、何名かの患者さんに用いて治療経過や結果を観察し、そのデータをまとめて報告したもので、記述研究の一つです。症例集積研究では対象となった患者さんの数は多くなっても、結果を比べる対照を設けていないことが多いため、症状の改善や副作用の発現などがその治療によるものかどうかを明らかにすることはできません。そのため、他の分析的研究よりもエビデンスレベルは低いとされています。


症例報告
ある病気の患者さんについて、一例から数例の治療経過や結果をまとめて報告したもので、記述研究の一つです。まれな病気、あまり見られない症状や経過などを示した症例、通常は行わない特別な治療が有効だった症例などが報告の対象となります。


【参照】

エビデンスがある」とはどういうことか?